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【書評】「バーボン・ストリート」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに

講談社エッセイ賞を受賞された沢木耕太郎さんのエッセイ集です。

単行本は、1984年に書かれた本ですから、30年以上前の本なんですね。
よみごたえのあるエッセイは古びないんじゃないかと、本書を読んで思いました。

目次

全体の感想

一つ一つのエッセイのテーマが、はっきりとしていると思います。
流れるように、話題が移っていくんですね。
リラックスした場所で話を聞いているような感じの本です。

印象に残ったエッセイ3選

1.運のつき

ギャンブルがテーマです。
沢木さんは競馬について書かれたノンフィクションの作品がありますし、色川武大さんの解説文も書かれていますから、
ギャンブルについての文章は重みが違います。
色川武大さんは、麻雀小説を書かれている阿佐田哲也さんです。)
切羽詰まった場面に出会ったところから話は始まっていきます。
さらさらと話題が移っていき、最後はきれいに終わります。
ギャンブルの面白さと恐さを目の前で語ってもらったようなエッセイです。

2.角ずれの音が聞こえる

贅沢について書かれたエッセイです。
沢木さんは、普通の人生では出会えない人物に会っていると思いますし、スポーツの試合や大会にも足を運んでいると思います。
言ってみれば、”贅沢”な時間を多く過ごしているようにも思うんですね。
そんな沢木さんが贅沢をどうとらえているのかというのが分かる文章となっているんじゃないかと。
ある人との対談がきっかけとなったエッセイです。
素晴らしい人物ですので、ぜひ本編も読んでいただきたいですね。

3.ぼくも古本と散歩がすき

タイトル通り、古本がテーマの一編です。
古本に関係するエピソードがとてもいいんです。
新刊の本にはない魅力が古本にはあると教えてもらったような気になる文章です。
よい古本屋さんに足を運ぶのは心地よい時間だろうなと思います。
沢木さんにとっての古本との関り方がとてもいいな、と。

印象に残った文章

'そもそも、退屈というのが、そう悪くないものなのだ'

本書の根底にある感覚が書かれているように思いました。
退屈な時間とじっくりと向き合い、味わう。
そうすることにより感じられたものがエッセイになっているように思います。

おわりに

どこかの文章で、酒場で話すようなことをエッセイにした、というようなことを沢木さんは書かれていました。
(本書の裏表紙に書かれた紹介文やあとがきにも同様のことが書かれてます。)
そのせいか、酒を飲みながら話を聞いているようなイメージを本書の文章には持っています。
お酒を呑みながら、こんな風にたのしい話を聞けるたら、凄くいい時間になると思いますね。
呑みながら話す楽しさは変わらないのかもしれないのかもしれないですね。

 

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