はじめに
本作品は、モハメド・アリとジョー・フレイジャーについて書かれたものです。
モハメド・アリはレオン・スピンクスとのタイトルマッチに挑戦者として、臨もうとしています。(1978年9月)
かつてヘビー級の王座を争ったジョー・フレイジャーがその時にどのような状況にあったのかというのが、1つのテーマとなっています。
チャンピオンの座に昇りつめた二人の人生から、ボクシングの本質が描き出されている作品です。
また、二人のボクサーの人生も読みどころですが、同時にボクシングを通して当時のアメリカ社会も興味を惹かれる描写となっています。
ぜひ、この部分もじっくり読んでいただきたいです。
目次
全体の感想
ボクシングの、とりわけヘビー級のボクシングの歴史に興味がある人にはぜひ、読んでいただきたい作品であると思いました。
モハメド・アリという不世出のボクサーとそのライバル達のエピソードを楽しむことができるからです。
有名なタイトル・マッチを沢木さんのボクシング観を通して読めるのは、本当に素晴らしいことだと思うんです。
タイトル・マッチだけでなく、ジョー・フレイジャーにインタビューに行く沢木さんの姿も描かれています。
タイトルを失ったジョー・フレイジャーに何を尋ねるのか。沢木さんのジョー・フレイジャーの捉え方は非常に興味深く、読んでいてどんどん引き込まれました。
キーワード3選
牡蠣
沢木さんが、生牡蠣をオイスターバーで食べるシーンがあります。
テーマとは直接関係はないのですが、伏線と言えなくはない描写となっています。
アメリカの雰囲気、沢木さんのアメリカの捉え方、社会の雰囲気が伝わってくる箇所だと思います。
おそらく、一読すると、印象に残るところではないでしょうか。
音楽
音楽がこの作品には多く出てきます。
音楽の描写によって、アメリカの社会の雰囲気、ジョー・フレイジャーの悲哀が際立つんですね。
本作品のイメージを決めている要素だと思います。
インタビュー
沢木さんがジョー・フレイジャーにインタビューをするというのが骨子なんです。
インタビューとはどういったものなのか、ということも書かれています。
取材の本質も読める作品なんだと思います。
印象に残った文章
'私は机の引き出しの小銭までさらって安い航空券を買い、クアラルンプールに飛んだ。'
>「王の闇」(文春文庫)より引用
この一文が好きです。「小銭にまでさらって」という言い回しがポイントで、本当に現地での試合を観たいという気持ちが伝わってくるように思えます。
おわりに
華やかな内容ではありませんが、ボクシングの魅力が十二分に伝わってくる作品だと思います。
一方で、ジョー・フレイジャーというボクサーから人生の辛い部分を感じることができます。
人生を賭けて、モハメド・アリと闘うジョー・フレイジャー。
頂点を極め、そこから降りたジョー・フレイジャー。
本作品は、ジョー・フレイジャーという人間の輝かしい時間と沈んだ時間を描いたものなんですね。
彼を、インタビューを通して理解しようとする沢木さんの姿をぜひ読んでいただきたいなと思います。
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