はじめに
「奇妙なワシ」というエッセイの後日譚になる一遍です。
エッセイが連なるように書かれていることが時々あると思うのですが、
続きを読む楽しさも独特なものです。
語り口が軽妙で、日記のような雰囲気です。
目次
全体の感想
まずは、インパクトのあるタイトルが忘れられないですね。
読む前は、奇妙なワシとは何か、と気になりました。
自分を指す時に、1人称の「ワシ」という言葉を使うかどうかということが書かれているんですが、
確かにそうだな、と思える内容になっていると思います。
日記のような書かれ方で、一緒にお酒を飲んだり、仕事をした人物も出てきます。
このような登場人物が有名な方で、沢木さんの交友関係も垣間見れて興味深かったですね。
キーワード3選
日記
体裁が日記のようになっています。
日常の中で起こった出来事とワシについての描述がうまく融合しているんですね。
すっと読めるエッセイの要素として体裁も重要であることを感じました。
言葉の選び方
作家として、どう言葉を選んで書くかというテーマが根底にはあります。
文章を書くことを仕事にしている人との会話で、書き言葉に対する意識が垣間見れます。
プロ同士の意見交換の向きもあるので、読んでいて興味深いな、と。
軽妙
日記のようで、軽いタッチの文章になっています。
すっと、楽な気持ちで読めるエッセイになっています。
印象に残った文章
'私は緊張して耳を傾けた。'
> 「像が空をⅢ 勉強はそれからだ」(文春文庫)より引用
自分の書いたエッセイの内容について、語られる前に緊張する沢木さんの心境です。
率直な一文で、一緒に緊張して次の一文を読んでしまいました。
おわりに
自分の書いた文章をめぐって、気を回している沢木さんの様子が何だか面白いんですね。
こんなこともあったのかと、不思議な親近感までわいてきます。
仕事の中でのお話を聴かせてもらっているようで、楽しい文章ではないかと思います。