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書評のブログ。

【書評】「幕末よもやま(司馬遼太郎対話選集3 歴史を動かす力)」(司馬遼太郎)を読んでの感想

はじめに

司馬遼太郎さんと子母澤寛さんの対談です。
タイトル通り、幕末の話題が中心の対談となっています。

目次

全体の感想

とにかく面白いです。
短い対談ですが、ずっと楽しんで読めました。
歴史に詳しいお二人が逸話を披露しているのを聴いている感じなんですね。
興味深いお話が次々に出てきて興味が尽きないです。

キーワード3選

新選組

新選組について調べた経験をお持ちの二人ですから、新選組についてのお話は非常に深いものがあります。
作品のための調査のこぼれ話のようなものがとても楽しく読めるんですね。
こんな話も聴いていたのか、と驚くような気持ちになります。

お年寄り

お二人が調査された時点で、幕末は昔の出来事となっています。
実際にその時代を生きていた人はお年寄りになっているわけなんですね。
子供のころにお年寄りから聴かされた話というものが作品の根底にあるように思えました。
お年寄りの話ということで、どこか不確かさもあるようなんですが、そこも魅力になってしまっているんじゃないかと思います。

長州藩

幕末の長州藩についてのお二人の洞察も語られています。
長州藩というものが独特の気風をもっていたとお二人は捉えているようです。
江戸時代の初めからの流れを汲んでの考察ですので、非常に面白いですね。
司馬さんの作品には、安土・桃山時代から江戸時代にかけてを描いたものもあります。
直接ではないのですが、幕末の作品とのつながりもどこかにあるように思えました。

印象に残った文章

'まあ、二流の川柳作家といった程度の文才がございますね。'

> 「司馬遼太郎対話選集3 歴史を動かす力」(文春文庫)より引用

司馬さんが土方歳三の文芸の才能を評しての言葉です。
文芸については、お二人の専門分野です。
俳句などが残っている歴史上の人物の文芸の才能に対して評価していることが興味深いなと思いました。

おわりに

お二人ともに日本の歴史についてお詳しいので、話されている内容が興味深かったです。
ずっと聞いていられるような気がする対談でした。
歴史小説がお好きな方におすすめの対談です。