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書評のブログ。

【書評】「かきバターを神田で」(平松洋子)を読んでの感想

はじめに

平松洋子さんの食べ物に関するエッセイ集です。
短い作品がたくさん入っているのですが、出てくる食べ物が食べたくなる本です。
食べ物が多彩で次から次へと楽しめます。
馴染みの薄い食べ物なんかも出てきますね。

話題が料理のものもあり、こちらは何とも楽しそうなんですね。
知らなかった料理のコツも載っています。
台所の雰囲気が伝わってくるような文章は向田邦子さんの作品が好きな人には合うかなと思います。

気になった食べ物を挙げてみます。

・あけび
・アボカド
・海苔
・煮卵
・カリーブルスト
・おにぎり

こうして改めて挙げてみると、幅が広くて驚かされます。

目次

印象に残った料理3選

ナムル

ナムルを作る姿が何とも言えず、楽しそうなんですね。
作り方が上達して、おいしくなっていくのが伝わってきます。

ちぎりトマト

予想もしていなかった料理です。
食べたことがないのですが、インパクトは凄かったですね。
できたら、食べてみたい料理かな、と。

ぬか漬け

ぬか床を育てるエッセイです。
ぬか床をスタートさせて、熟成させていき、一度悪くなってしまったぬか床を復活させるお話が書かれています。
ぬか床を作ったことはないのですが、本当にリアルな体験談として、興味深く読めました。
多分、1番印象に残った一編です。

印象に残った文章

・・・こつこつと「時間をためる」と、うれしいことがあるかもしれないと思ったりしながら。「かきバターを神田で」(文春文庫)より引用

時間をためるという表現が秀逸です。
食べ物が時間をかけておいしくなる様が真に伝わってきます。
おいしくなるという味わいが文章から浮かび上がってくるんですね。

おわりに

平松さんの食べ物の話はこんなにあるのか、と驚くばかりです。
食べ物を中心にして様々な出来事が語られていきます。
切り口がたくさんあって、本当に飽きない。
こんな食べ物の話が出てくるのかという気持ちになりました。