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書評のブログ。

【書評】「ニッポン線路つたい歩き」(久住昌之)を読んでの感想

はじめに

久住昌之さんの紀行エッセイです。
タイトルの通り、線路をつたって歩く旅となっています。

移動手段が徒歩のため、描かれる距離は短いんですね。
じっくりと歩いて時間を過ごすことで、見える風景を久住さんらしい視点で書かれています。
明確な目的のためでなく、ただ入ってくる景色を味わう点が何ともゆるく、心地よい。
久住さんの作品として欠かせない、食べ物、お酒も出てきます。

個人的には疲れている時にも手を伸ばしやすい本だと思いますね。

目次

印象に残った食べ物3選

塩しめ鯖

館山を旅された時に出てきました。
鯖の感じが何とも箸を伸ばしてみたくなる雰囲気なんです。
脂のが醤油に広がる描写が、見たわけではないのに目の奥に残っているような気がします。
食べてみたい。

徳島うどん

鳴門線をつたって歩いた終着点で食べていました。
ひょろひょろとした、と表現されていたうどん。
コシのきいたうどんとはまた違った良さのうどんみたいです。
おいしそう。

鮎のフライ

栃木県の烏山線の旅で出てきた料理です。
定食についていたフライ。ソースをかけて食べるんだそうです。
歩いた日がものすごく暑かったことが書かれていて、汗をかき、疲れたところに口に含んだソースの味がストレートに伝わってきました。
鮎のフライ、食べたことないですが、絶対にソースに合うんだろうなと思ってしまいました。
文章の流れの中で集中された味の描写は頭に残りますね。
ソース、かけてみようかな。

おわりに

日々過ごしていると、ぼんやりとしてしまう時ってあると思うんですが、そんな時に手にとれる本だと思います。
地方の色んな土地が出てきて、そのゆったりとした空気を味わうことができます。
肩に力の入らない久住さんならではの紀行エッセイではないかな、と。

おすすめの1冊です。