はじめに
俳優の山崎努さんがリア王の公演の前に記録した日記です。
日記ということで、日常がまず伝わってきます。
リア王を理解しようとする過程が、日常と合わせて書かれているんですね。
演劇とどう向き合っているのかということがよく分かる内容となっています。
リア王の1つの解説ともなっています。
演劇に興味がないと面白くないと思われそうなのですが、実際にはとても面白いんです。
通して読んだ後には、部分的に読み返しても楽しめる。
演劇をつくっていく過程が日常の中でどうなっているのかという、いわば舞台裏を知ることができるのが本当に興味深いんですね。
当然ながら一気に答えは出てこなくて、日々を積み重ねて、深めていく様に引き込まれます。
決して重くない語り口も合わさって、何とも言えない読み応えがある本となっています。
目次
キーワード3選
リア王
リア王という作品の演劇を観たくなります。
シェイクスピアの作品に入っていくきっかけに最適なんじゃないかと思います。
もちろん、リア王を知っていたらもっと楽しめるのは間違いないです。
食べ物
食事のことが結構多く書かれているんですね。
味とかではなく、メモ的に食べたものが羅列されてるんです。
食べることを重要な要素と位置付けていることが伝わってきます。
おいしそうな描写もあって、食べたくなるシーンもあります。
それ以上に、生活と食べ物は切り離せないんだということが根底にあるように思います。
食わないともたないということが書かれているんですが、食べ物と演劇が同列に書かれている不思議さみたいなものがあって、何だか読んでいて楽しいんですね。
公演の舞台裏
本番公演の舞台裏でどのようなことがあったのかも日記として書かれています。
どのような生活をしていたのかを知ることはあまりできないと思うので、とても貴重だな、と。
準備、稽古の段階はまだ想像できなくもないのですが、実際に公演が日々進んでいく中の様子は初めて知ったように思います。
本番の最中でも起きる浮き沈みが印象に残っています。
おわりに
演劇や、リア王、シェイクスピアに興味がない人にもぜひ読んでほしい本です。
舞台公演というものを超えて伝わってくる情熱を感じられるんじゃないでしょうか。
俳優という職業の凄みが詰まった本だと思います。
ぜひ、読んでみてください。