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書評のブログ。

【書評】「ステーキを下町で」(平松洋子)を読んでの感想

はじめに

平松洋子さんの旅とおいしいものについて書かれたエッセイです。
食材とお店にフォーカスされています。

文章と合わせて載っている谷口ジローさんの漫画でお店と料理の雰囲気が描かれています。
雰囲気が伝わってきていいんですね。

文章と漫画が相まって味わいが増しています。

目次

 

印象に残った料理3選

  • さんま
  • 鮟鱇
  • いがめんち

海に近いところの食べ物が印象に残っています。

おわりに

料理だけでなく、旅先で出会った人の魅力がつまっている本だと思います。
旅と食べ物についてじっくりと読みたいときにおすすめです。

 

【書評】「昼のセント酒」(久住昌之)を読んでの感想

はじめに

久住昌之さんの銭湯と居酒屋について書かれたエッセイです・
頭が雑多なことでいっぱいになった状態から解放された感覚と、風呂につかった時のそれというのは、すごく近いんじゃないか。
そう思わせてくれます。

風呂の良さと合わせて、細か点に気づいてしまう久住さんへの共感も湧いてきますね。
違和感を面白がる精神でつづられた日記といった趣の本となっています。

目次

キーワード3選

お風呂のよさ

この本の印象を決めているものは、何と言っても風呂につかった時の解放感だと思います。
理屈から離れた瞬間を何度も書かれています。
色々な場所で、独特な雰囲気の中で感じた時間を切り取り続けてます。
ある意味、淡々と繰り返されるお風呂の解放感を読める楽しさが詰まっています。

東京の銭湯

本書の中心は、東京の銭湯なんですね。
訪ねるのは、ほとんど東京の銭湯です。

独特の風景の味わい深さがあるんですね。
日常にはない昔からあったと言われるしシステムを知れる面白さもあります。

東京に残っている銭湯の姿を知れる興味深さも本書の魅力ではないかな、と。

夕暮れと居酒屋

必ずしも夕暮れ時が描かれていたということでもないのですが、夕暮れと居酒屋が印象に残っています。
日のあるうちの飲酒の良さが伝わってくるからかな、と思います。
銭湯ともっとも合う情景なんじゃないでしょうか。

印象に残った文章

ビールの時間がやってきた。

「昼のセント酒」(カンゼン)

理由はないんですが、すごく頭に残った表現です。

おわりに

難しいことと距離をとれる文章がつまっていると思います。
何も考えたくないな、と言う時に読みたくなりますね。

少し疲れた時に読んでほしい一冊です。

【書評】「ニッポン線路つたい歩き」(久住昌之)を読んでの感想

はじめに

久住昌之さんの紀行エッセイです。
タイトルの通り、線路をつたって歩く旅となっています。

移動手段が徒歩のため、描かれる距離は短いんですね。
じっくりと歩いて時間を過ごすことで、見える風景を久住さんらしい視点で書かれています。
明確な目的のためでなく、ただ入ってくる景色を味わう点が何ともゆるく、心地よい。
久住さんの作品として欠かせない、食べ物、お酒も出てきます。

個人的には疲れている時にも手を伸ばしやすい本だと思いますね。

目次

印象に残った食べ物3選

塩しめ鯖

館山を旅された時に出てきました。
鯖の感じが何とも箸を伸ばしてみたくなる雰囲気なんです。
脂のが醤油に広がる描写が、見たわけではないのに目の奥に残っているような気がします。
食べてみたい。

徳島うどん

鳴門線をつたって歩いた終着点で食べていました。
ひょろひょろとした、と表現されていたうどん。
コシのきいたうどんとはまた違った良さのうどんみたいです。
おいしそう。

鮎のフライ

栃木県の烏山線の旅で出てきた料理です。
定食についていたフライ。ソースをかけて食べるんだそうです。
歩いた日がものすごく暑かったことが書かれていて、汗をかき、疲れたところに口に含んだソースの味がストレートに伝わってきました。
鮎のフライ、食べたことないですが、絶対にソースに合うんだろうなと思ってしまいました。
文章の流れの中で集中された味の描写は頭に残りますね。
ソース、かけてみようかな。

おわりに

日々過ごしていると、ぼんやりとしてしまう時ってあると思うんですが、そんな時に手にとれる本だと思います。
地方の色んな土地が出てきて、そのゆったりとした空気を味わうことができます。
肩に力の入らない久住さんならではの紀行エッセイではないかな、と。

おすすめの1冊です。

【書評】「旅人の表現術」(角幡唯介)を読んでの感想

はじめに

探検家の角幡唯介さんが様々な媒体で書かれた文章を集めた本です。
探検を書かれた本ではなく、山登りを中心にかかれた文章を中心に対談が入ってくるような構成で、多くのテーマが包含されています。

一番の感想としては、角幡さんが書いた探検の本を読みたくなる、というもの。
次は、「極夜行」を読もうと思っています。

目次

キーワード3選

人物

対談や書評といった形で様々な人達が登場します。
沢木耕太郎さん、開高健さんが印象に残りました。
沢木耕太郎さんとは対談をされていたんですが、鋭いやりとりをされていたように思います。
冒険についての意見をお互いにぶつけあう様子には、少し驚かされました。

開高健さんは、ベトナム戦争ルポルタージュについての考察が中心となっていました。
開高さんがベトナム戦争について書かれていたこと自体は知っていたのですが、本は読んだことがありません。
物書きの視点から、創作について書かれている点が印象に残っています。

社会への考察

山登りを通しての社会への考察が書かれていました。
冒険や、登山といったことに知識がないため、新鮮でした。

書評

本について書かれた文章の多く入っていますが、一番印象に残ったのは夢枕獏さんの本です。
山岳小説は読んだことないのですが、角幡さんが受けたインパクトが凄かったことがとにかく伝わってくるんですね。

おわりに

冒頭でも触れましたが、読後、角幡さんの別の本、特に「極夜行」を読みたくなりました。
冒険、山登りといった分野の奥深さと幅広さが分かる内容だったように思います。
そういったテーマの本を読んだことのない人にもおすすめできる本かな、と。

【書評】「かきバターを神田で」(平松洋子)を読んでの感想

はじめに

平松洋子さんの食べ物に関するエッセイ集です。
短い作品がたくさん入っているのですが、出てくる食べ物が食べたくなる本です。
食べ物が多彩で次から次へと楽しめます。
馴染みの薄い食べ物なんかも出てきますね。

話題が料理のものもあり、こちらは何とも楽しそうなんですね。
知らなかった料理のコツも載っています。
台所の雰囲気が伝わってくるような文章は向田邦子さんの作品が好きな人には合うかなと思います。

気になった食べ物を挙げてみます。

・あけび
・アボカド
・海苔
・煮卵
・カリーブルスト
・おにぎり

こうして改めて挙げてみると、幅が広くて驚かされます。

目次

印象に残った料理3選

ナムル

ナムルを作る姿が何とも言えず、楽しそうなんですね。
作り方が上達して、おいしくなっていくのが伝わってきます。

ちぎりトマト

予想もしていなかった料理です。
食べたことがないのですが、インパクトは凄かったですね。
できたら、食べてみたい料理かな、と。

ぬか漬け

ぬか床を育てるエッセイです。
ぬか床をスタートさせて、熟成させていき、一度悪くなってしまったぬか床を復活させるお話が書かれています。
ぬか床を作ったことはないのですが、本当にリアルな体験談として、興味深く読めました。
多分、1番印象に残った一編です。

印象に残った文章

・・・こつこつと「時間をためる」と、うれしいことがあるかもしれないと思ったりしながら。「かきバターを神田で」(文春文庫)より引用

時間をためるという表現が秀逸です。
食べ物が時間をかけておいしくなる様が真に伝わってきます。
おいしくなるという味わいが文章から浮かび上がってくるんですね。

おわりに

平松さんの食べ物の話はこんなにあるのか、と驚くばかりです。
食べ物を中心にして様々な出来事が語られていきます。
切り口がたくさんあって、本当に飽きない。
こんな食べ物の話が出てくるのかという気持ちになりました。

 

【書評】「ペーパーナイフ 路上の視野Ⅱ」(沢木耕太郎)を読んでの感想


はじめに

沢木耕太郎さんが本と作家について書いたものをまとめた本です。
紹介されている本は実に多様。
とても興味深いですね。

タイトルにもなっている「ペーパーナイフ」は書評の連載をまとめたもので、
こんな本があったのかと驚かされ、その本を読みたくなります。

短く書かれた書評からは、沢木さんの読書に対する姿勢が垣間見れます。
厳しく、向き合っていることは間違いないと思いますね。

本の作り手である作家に対する論評もまた、面白いんですね。
実際に会ったことがある方も多いとは思うんですが、書かれた文章を通して、作家さんの思想や生き方を捉えているんですね。
一人の作家さんの本を全て読みきって、深く考察して、ということも面白さはこの本で知ったように思います。
そもそも、一人の作家さんの本全てを読むとこんなことが分かるんだという、新鮮な感動がありました。

この本に出てこない本で話が外れてしまうんですが、小田実さんの「何でも見てやろう」という本は沢木さんの文章を読んで、知って、
すごい読みたくなって読みました。
読んでみると、沢木さんの所感とは違うものが自分に残ったんですよね。
他にも読んだ本がいくつかあるんですが、感想は違った。
やっぱり読書は読み手次第なんだな、と。基本的なことを体感しましたね。

目次

 

キーワード3選

多様な本

とにかく多様な本が登場してきます。
圧倒されます。

有名な作家が出てくる

多様な本が出てくるということで、著者の方の幅も実に広いんです。
知らない人たちばかりでした。

その中に、読んだことのある人が出てくると少し安心するというんですかね。
何でなのかはよく分からないんだけど。
向田邦子さんのことを書いた文章なんかは、落ち着いて読めます。
本当に何回も読んでます。

文章技術的な要素

文章を書く上での技術論も入ってきているんだと思います。
これはやはり避けてようとしても完全には無理なのかもしれませんね。
同じ作家さん同士だと、読みながら技術に目がいくでしょうし。

純粋な読み手からすると、分からないような技巧が入っているんじゃないかと思ってしまいますね。

印象に残った文章

そう一人合点して退場。

「ペーパーナイフ 路上の視野Ⅱ」(文春文庫)より引用

ペーパーナイフの最後の一文です。
個人的には、連載された文章の終わり方で最も格好いいものだと思います。

おわりに

私が沢木さんの本(作品)で知って読んだ本をざっと挙げてみると、

・何でも見てやろう(小田実
・剣(三島由紀夫
・うらおもて人生録(色川武大
麻雀放浪記阿佐田哲也
ロバート・キャパ写真集 フォトグラフス

偏っているなと思います。
沢木さんのルーツみたいなものを読もうとしていたのかなと思いますけど、ちょっと違う気もするし。

自分がよく読む作家さんの本を読むのは、自分で選ぶのとはまた違った感じがします。
興味が全くない本も読むことになりますし、新しく好きな作家さんが見つかるかもしれない。

そんなわけで、沢木耕太郎さんの本が好きな人は、是非読んでほしい本ですね。