翻訳について、村上春樹さんと柴田元幸さんが語り合った内容を中心にまとめた本になります。
アメリカ文学からの翻訳作品についての考察、翻訳の技術論、日本における翻訳文学の歴史と内容はかなり盛沢山です。
翻訳という者の全体像、文化として翻訳がどういうものなのかまで考えさせられてしまいました。(オーバーかもしれないですが。)
本の大部分では、お二人の翻訳された作品を中心に、アメリカの作品が語られています。
個人的には、村上さんの視点からの作家さんについての考察は非常に興味深いですね。
時代や、社会背景によってどのような位置付けだったのかというのは、やはり興味がわくところなので。
一般的に小説を読むときには様々な要素を取り込むことになると思うんですね。
作品を取り巻く社会、歴史、文化、年代、言葉など。
その中に"翻訳"と要素を加えてもらったように思いました。
端的に言えば、翻訳された本を読みたくなった。
どのような思考を経て、異なった言葉で書かれた作品が、日本語の文章として組みなされているのか。
想像するのも難しいのですが、お二人の対談の中でその一端が語られているんですね。
この本を読んでみると、翻訳作品の見方が変わってくるんじゃないでしょうか。
少なくとも自分はそうなりました。そして、海外の作品をもっと読みたくなりました。
翻訳文化が沁みた。そんな感じの一冊でした。