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書評のブログ。

【書評】「せっかくこうして作家になれたんだもの レイモンドカーヴァーについて語る」(村上春樹)を読んでの感想

レイモンド・カーヴァーさんというアメリカの小説家について村上春樹さんが語るインタビューです。
村上さんはレイモンド・カーヴァーの全ての作品を翻訳していたとのこと。
カーヴァーさん本人に会ったこともあり、家族との交流もあったそうです。

インタビューの時点で、カーヴァーさんはすでに亡くなられていて、残された未発表作品の翻訳についても語られているんですね。
発表していないということは達成されていない何かがあるわけで、同じ小説家同士だと思うところがあるようです。
読者にとってはどうしても読みたくなるものだと思うのですが、小説家からすると心苦しさを感じてしまう部分なんだろうな、と。

小説家同士が翻訳を通して、深くつながるというのはすごくいいものなんじゃないでしょうか。
作品について書く、というのとは違った捉え方ができると思うんです。純粋に読むのとはやはり違うわけだから。
翻訳をしたことのない自分は想像するしかないんですが。

一人の小説家の全作品を読むのって楽しい経験だと思うんです。
年代を把握して、作品の変化から小説家の人生の移ろいを味わえるわけですからね。
いいことばかりではないのかもしれないけど、そこのところもひっくるめて、です。

村上さんによると、カーヴァーさんは書くことにとても真剣であったそうです。
人生を通して真摯に書かれた作品があり、それをしっかり読みとった人の言葉がある。
どんな作品なんだろうか、と思うのが自然ですね。

村上さんが翻訳したレイモンド・カーヴァーさんの本を読もうと思うしだいです。