Book Review Storage

書評のブログ。

2021-01-01から1年間の記事一覧

【書評】「海苔巻きの端っこ(父の詫び状)」(向田邦子)を読んでの感想

はじめに 本作品は、少し変わった視点からの食べ物についてのエッセイです。パンの耳のような食べ物のメインではないところが好きということについて書かれています。向田さんの手にかかると、一緒に様々な思い出が描かれます。すごく自然ですっと読める内容…

【書評】「夢見た空(像が空をⅡ 不思議の果実)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本作品は、1984年のロサンゼルスオリンピックについて書かれたものです。当時は冷戦下で、社会情勢も合わせて描かれています。冷戦であったことを鮮明に表しているのは、東側諸国のボイコットです。沢木さんは、不参加を決めたソ連の首都モスクワ、…

【書評】「王であれ、道化であれ(王の闇)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本作品は、モハメド・アリとジョー・フレイジャーについて書かれたものです。モハメド・アリはレオン・スピンクスとのタイトルマッチに挑戦者として、臨もうとしています。(1978年9月)かつてヘビー級の王座を争ったジョー・フレイジャーがその時…

【書評】「クレイになれなかった男(敗れざる者たち)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木さんが20代の頃に書かれたボクシングに関するノンフィクション作品です。ボクシングの歴史と裏側、そして魅力を伝える1篇となっています。同時に、沢木さんのボクシング観も読み取れます。 この作品は、カシアス内藤さんの韓国での試合を取材し…

【書評】「記憶と資料(像が空をⅢ 勉強はそれからだ)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに ノンフィクションについての考察が書かれた1篇です。「少年少女のためのノンフィクション論」と副題がついており、若い人に呼びかける形式で書かれています。まだノンフィクションを読んだことのない人への読書案内といった雰囲気もあると思います…

【書評】「インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」を読んでの感想

はじめに ソフトウェア開発者向けの心理学の本です。アプリケーションの画面のデザインの際に活かせる情報が書かれています。サンプルの画像もアプリケーションの画面が多かったですね。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 情報を少なくすること …

【書評】「持てる者と持たざる者と(象が空をⅡ 不思議の果実)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに この1篇は、競輪の新人選手向けの講演を文章化した形となっています。語りかける様な文章なんですね。講演の内容を読めるというのは、貴重なのではないかなと思います。エッセイ集の中で文体が急に変わって、驚いた思い出があります。少し、異色な1…

【書評】「自己の再生という幻想(象が空をⅡ 不思議の果実)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに この1篇は、沢木耕太郎さんが映画を観て書かれたエッセイとなっています。沢木さんは、映画の評論も多く書かれています。個人的にはこの1篇はそれらよりも少しライトなものになっていると思います。ただし、内容が軽いという意味ではありません。映…

【書評】「ノンデザイナーズ・デザインブック」を読んでの感想

はじめに デザイナーではない人に向けて書かれたデザインの本です。 デザインとは縁遠いと思っていたのですが、少し学んでみようと手に取ってみました。仕事で資料を作成するのに非常に役に立つ内容でした。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード2選 1.…

【書評】「彼の視線(像が空をⅠ 夕陽が眼にしみる)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 近藤紘一さんというジャーナリストの方について書かれた1篇です。近藤さんは、新聞社の特派員として、ベトナムや東南アジアで取材されていた方です。既に亡くなっておられるのですが、その生涯で残された著作物について沢木さんが書かれたものにな…

【書評】「思い出溢れる町、神保町(昼のセント酒)」(久住昌之)を読んでの感想

はじめに 「昼のセント酒」はテレビドラマを観て、読みたいなと思って、手に取りました。内容はエッセイになります。テレビドラマとは違ったコンテンツになっていると思います。 この作品は、神保町と久住さんの思い出も書かれているんです。思い出をとりこ…

【書評】「アンガーマネジメント入門」(安藤俊介)を読んでの感想

はじめに すぐイライラしてしまう性格を何とかしたいと思い、手に取りました。怒ると嫌な気持ちが続いてしまいますし、上手くいくものもうまくいかなくなってしまいます。そうならないために、学びたいと思ったのです。 著者の安藤俊介さんは日本アンガーマ…

【書評】「君は決して一人じゃない(後藤正治ノンフィクション第9巻)」(後藤正治)を読んでの感想

はじめに この作品は、1960年代のイングランドのフットボールとビートルズを中心にして、イングランドのフットボールの魅力について書かれたものです。 1960年代という年代は、イングランド社会で、フットボールと音楽が同時に盛り上がっていたことが分かり…

【書評】「「分かりやすい教え方」の技術―「教え上手」になるための13のポイント (ブルーバックス)」(藤沢 晃治) を読んでの感想

はじめに 人に何かを教える経験は誰にでもあるのではないかと思います。教える立場にたって分かるのは、教えることの難しさです。「教えるのは本当に難しい。」それが、私の正直な認識でした。少しでも上手な教え方を知りたいと思い、本書を手に取りました。…

【書評】「イシノヒカル、お前は走った!(敗れざる者たち)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 「イシノヒカル、お前は走った!」は「敗れざる者たち」に所収されているスポーツ・ノンフィクションの1篇です。競馬を取り扱った作品となっています。沢木耕太郎さんが、ダービーを目前にした厩舎に住み込んで取材して書かれています。厩舎には有…

【書評】「フットボールの犬」(宇都宮徹壱)を読んでの感想

はじめに 本書は、ヨーロッパのサッカー(フットボール)についての本です。主に2000年代のヨーロッパのサッカーシーンが分かる内容になっています。 宇都宮さんはワールドカップやEUROなどの大きな大会の記事も書かれています。本書を知ったきっかけはそち…

【書評】「ポーカー・フェース」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 「バーボン・ストリート」、「チェーン・スモーキング」につづく沢木耕太郎さんのエッセイ集です。本書は、2011年に刊行されています。前の2冊に比べると、最近に書かれたものです。(もう10年以上前ではあるのですが。)書かれている映画が見知っ…

【書評】「バーボン・ストリート」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 講談社エッセイ賞を受賞された沢木耕太郎さんのエッセイ集です。 単行本は、1984年に書かれた本ですから、30年以上前の本なんですね。よみごたえのあるエッセイは古びないんじゃないかと、本書を読んで思いました。 目次 はじめに 目次 全体の感想 …

【書評】「チェーン・スモーキング」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本書は、沢木耕太郎さんのエッセイ集です。沢木さんは深夜特急で有名な作家さんですね。エッセイ集も多く出版されてまして、その中の1冊となっています。 私が沢木さんの文章に触れたのはエッセイからでした。深夜特急をはじめとする旅行記、スポー…

【書評】「七色とんがらし(無名仮名人名簿)」(向田邦子)を読んでの感想

はじめに 「七色とんがらし」は、向田邦子さんの「無名仮名人名簿」というエッセイ集に所収されている一篇です。「父の詫び状」を読んで、向田邦子さんのエッセイが好きになり、他のエッセイ集も読んでみたいと思ったのがきっかけです。かなり期待して読みま…

【書評】「ごはん(父の詫び状)」(向田邦子)を読んでの感想

はじめに 「ごはん」は、「父の詫び状」に所収されている一篇です。著者の向田邦子さんは、有名な放送作家だった方ですね。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 1.畳の上 2.とっておきの白米 3.昼寝 印象に残った文章 おわりに 全体の感想 向田さ…

【書評】「「小さな旅」(眠る盃)」(向田邦子)を読んでの感想

はじめに 本作品は、向田邦子さんのエッセイ集「眠る盃」に収められている一編です。 目次 はじめに 目次 全体の感想 印象に残った文章3選 1.'...やはり緑の色も違っているわ、と自分に言い聞かせる。' 2.'トランプのカードを切るように、四角い景色が、窓の…

【書評】「柔らかな犀の角」(山崎努)を読んでの感想

はじめに 俳優の山崎努さんによる本についてのエッセイ集です。1編の中で、2-3冊の本について書かれています。 本書を知ったきっかけは、「ほぼ日刊イトイ新聞」の山崎さんへのインタビュー記事でした。山崎さんは有名な作品に出演されている方なので、どん…

【書評】「アンパンマンの遺書」(やなせたかし)を読んでの感想

はじめに アンパンマンの作者、やなせたかしさんの自伝です。やなせさんが、どんな方か詳しく知りたいと思い、本書を手にとりました。 目次 はじめに 目次 全体の感想 本書に登場される方の中で印象に残った方、3名 1.手塚治虫さん 2.立川談志さん 3.永六輔…

【書評】「遅咲き(後藤正治ノンフィクション集 第10巻)」(後藤正治)を読んでの感想

はじめに 仰木彬さんについて書かれたノンフィクションです。イチロー選手が在籍していた頃の、オリックス・ブルーウェーブの監督というイメージではないでしょうか。本作品では、仰木さんの生い立ちから、晩年までの来歴が丁寧に書かれています。登場する方…

【書評】「「食らわんか」(夜中の薔薇)」(向田邦子)を読んでの感想

はじめに 「食らわんか」は向田邦子さんの「夜中の薔薇」という本に所収されている1篇です。向田邦子さんは、有名な放送作家だった方ですね。小説やエッセイ集も多く出版されていて、「夜中の薔薇」もその一冊となっています。「父の詫び状」を読んで、向田…

【書評】「江夏の21球」(スローカーブを、もう一球)(山際淳司)を読んでの感想

はじめに 有名なスポーツ・ノンフィクションの作品です。 著者の山際淳司さんはスポーツノンフィクションで有名なライターの方です。「スローカーブをもう一球」には他にも読みごたえのある作品が入っています。 沢木耕太郎さんの作品や、後藤正治さんの作品…

【書評】「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」(ほぼ日刊イトイ新聞)を読んでの感想

はじめに 本書は、HAL研究所代表取締役、任天堂の代表取締役社長であった岩田聡さんについて書かれたものです。基本的には、岩田さんが「ほぼ日刊イトイ新聞」上で話された言葉や、インタビュー記事等をまとめたものとなっています。糸井重里さん、宮本茂さ…

【書評】「How to Design いちばん面白いデザインの教科書」(カイシ トモヤ)を読んでの感想

はじめに 私はデザインを専門にはしていないのですが、Webデザインやアプリケーションの画面設計の参考にしたくて、デザインを知ろうとしていました。入門書の次に読む本という情報があったので、本書を選んだ記憶があります。読んでみて、デザインについて…

【書評】「「ねずみ花火」(父の詫び状)」(向田邦子)を読んでの感想

はじめに 本作品は、向田邦子さんの「父の詫び状」というエッセイ集に収められている一編です。印象的な一編でして、感想を書いておきたいと思いました。 「父の詫び状」は中学生の頃に名前を知ったように記憶しています。有名な本なので、内容が気になって…