はじめに
近藤紘一さんというジャーナリストの方について書かれた1篇です。
近藤さんは、新聞社の特派員として、ベトナムや東南アジアで取材されていた方です。
既に亡くなっておられるのですが、その生涯で残された著作物について沢木さんが書かれたものになっています。
まず、何よりもベトナム戦争の在り様を目の当たりにしたジャーナリストの凄みが伝わってきます。
この点で、ベトナム戦争を知るきっかけになりました。
そして、卓抜したジャーナリストとしての視野の背景にあったものが描かれていきます。
極端に言えば、近藤さんの人生と歴史的な出来事が対比されているんですね。
何重にも厚みある情報が丹念に描かれており、ひきこまれます。
目次
全体の感想
沢木さんは近藤さんの全著作を通して、近藤さんの人物をとらえようとします。
著作の内容から直接的に人柄や思想が分かるわけではありません。
しかし、断片的に知ることができる、あるいはつかむことができる近藤さんの意思のようなものを沢木さんは丹念に描いています。
キーワード3選
ベトナム戦争
ベトナムという国の姿を目の当たりにした記者としての近藤さんの書いた文章には圧倒されました。
近藤さんの見たベトナムは多様を内包していたように思います。
近藤さんはその多様性の中に踏み込んでいったことが分かります。
踏み込んでいった結果、近藤さんは何を得られたのかということがこの1篇の読みどころだと思うんですね。
近藤紘一さんの本が読みたくなる
本編を読んだ後に、近藤さんの著作を何冊か読みました。
読書が広がる経験になったのは間違いありません。
1つの文章から、1人の作家の著作物を読む機会を得るというのも良い経験になった記憶があります。
小説
本編の中では、近藤さんの書かれた小説を読むことを通して、小説を書くということについての考察が書かれています。
ノンフィクションと虚構という対になっている分野についての洞察は非常に読みごたえがあります。
印象に残った文章
'読み終わって、近藤さんとはこのように見事な書き手であったのかと感嘆させられた。'
> 「像が空をⅠ夕陽が眼にしみる」(文春文庫)より引用
沢木さんのこの文章から近藤さんの著作を読みたくなったことを覚えています。
ストレートな表現で、書き手の素晴らしさが伝わってくると思います。
おわりに
何度も書いてしまいますが、近藤さんの著作を読みたくなります。
本編もおすすめしたいのですが、その次の1冊として近藤さんの著作も手にとっていただきたいです。
読んでの感想が人それぞれではあると思うのですが、この1篇との連なりを読んでみて欲しいですね。
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