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書評のブログ。

沢木耕太郎

【書評】「歴史からの救出者(像が空をⅠ 夕陽が眼にしみる)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

チェーザレ・ボルジアの作品を中心にして塩野七生さんについて書かれた作品です。あまり読んでいないくせに、塩野さんの本は好きでして。ヨーロッパの歴史の深いところを知りたいと思ったら、塩野さんの作品をまずは手にとるといいんじゃないかと思っていま…

【書評】「雨のハノイ(沢木耕太郎ノンフィクション 4 オン・ザ・ボーダー)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木耕太郎さんのベトナムを訪ねた際の旅行記。年齢を重ねてからの旅行になっています。いろいろな経験を経ての旅なので落ち着いていますね。沢木さんが書いてきた文章が散りばめられていて、文章の世界が表れてくると一気にその雰囲気にくるまれま…

【書評】「オリンピア1996 冠<廃墟の光>」(沢木耕太郎)読んでの感想

はじめに 1996年に開催されたアトランタオリンピックを取材したノンフィクション作品です。旅行記であり、スポーツ観戦記です。オリンピックの歴史を掘り下げ、歴史の中でのアトランタオリンピックの位置づけが見えてきます。観戦に関しては、一日ごとの日記…

【書評】「キャパのパリ、あるいは長い一日(沢木耕太郎ノンフィクション 4 オン・ザ・ボーダー)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木耕太郎さんがパリを訪れた時の旅行記です。当時、ロバート・キャパの本の翻訳が終わったタイミングだったそうです。タイトルの通り、キャパとパリのつながりが書かれています。パリの雰囲気が伝わってくる文章となっています。華やかな印象もあ…

【書評】「雨(沢木耕太郎ノンフィクション 9 酒杯を乾して)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

F1レーサー、ニキ・ラウダを追ったノンフィクションの作品です。1976年に日本で初めて開催されたF1グランプリを描いたものです。その年のF1グランプリのレース中に大けがを負ったラウダ。驚異のスピードで復帰し年間1位を目指します。ラウダにとっては、ほぼ…

【書評】「杯(カップ)(沢木耕太郎ノンフィクション 9 酒杯を乾して)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに サッカーのワールドカップと旅について書かれた作品です。取材されているのは、日韓ワールドカップ。日本と韓国を往復し、感じたことが書かれています。サッカーだけでなく、人との出会い、社会への洞察が描かれています。一緒に旅しているような感…

【書評】「像が飛んだ(沢木耕太郎ノンフィクション 9 酒杯を乾して)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに ジョージ・フォアマンが42歳でボクシングにカムバックした際のスポーツノンフィクションです。じっくりと時間をかけて、タイトルマッチに挑む姿が印象的です。 対戦するイベンダー・ホリフィールドの雰囲気も合わさって、浮ついたところのない試合…

【書評】「オリンピア ナチスの森で」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 1936年に開催されたベルリンオリンピックを描いたノンフィクションです。競技のみでなく、歴史、科学技術、そしてオリンピックを記録した映画の監督、レニ・リーフェンシュタールについても書かれています。総合的にベルリンオリンピックを書いてい…

【書評】「ペーパーナイフ 路上の視野Ⅱ」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木耕太郎さんが本と作家について書いたものをまとめた本です。紹介されている本は実に多様。とても興味深いですね。 タイトルにもなっている「ペーパーナイフ」は書評の連載をまとめたもので、こんな本があったのかと驚かされ、その本を読みたく…

【書評】「ジム(王の闇)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに ボクサーであった大場政夫さんについて書かれた作品です。彼は、世界フライ級チャンピオンだった23歳の時に、交通事故で亡くなっています。その足跡を、所属ジムで世話をしていた長野ハルさんの視点を中心に描いた作品になります。 目次 はじめに …

【書評】「センチメンタル・ジャーニー(路上の視野Ⅰ 紙のライオン)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに ベルリンオリンピックの時代にボートレースに出場した選手の方について書かれた作品です。インタビューされた内容を元にした構成となっています。練習として参加したロンドンでのレースや、レースの舞台裏も描かれています。 目次 はじめに 目次 キ…

【書評】「視ることの魔(路上の視野Ⅰ 紙のライオン)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

沢木耕太郎さんがスポーツの視方、そして、取材論について書いている作品です。特に若い方が読むと、スポーツの楽しみ方を知ることができて、プラスになるのではないでしょうか。 スポーツの楽しみ方を知りたければ、読むといい作品だと思います。思い込むこ…

【書評】「私だけの教科書(像が空をⅢ 勉強はそれからだ)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木耕太郎による、ノンフィクションについての技術論とも言えるエッセイです。タイトル通りに教科書として、沢木さんが読んだ本が紹介されています。 沢木さんのエッセイには、技術論が書かれているものがいくつかあるのですが、その中の一編にな…

【おすすめの本】沢木耕太郎さんの作品5選

沢木耕太郎さんの作品から私の中で印象に残っている5冊を箇条書きで紹介したいと思います。どれも読みごたえのある本ですので、ぜひ読んでみてほしいです。 目次 目次 作品5選 一瞬の夏 深夜特急 人の砂漠 敗れざる者たち テロルの決算 おわりに 作品5選 一…

【書評】「奇妙なワシをめぐって(像が空をⅢ 勉強はそれからだ)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 「奇妙なワシ」というエッセイの後日譚になる一遍です。エッセイが連なるように書かれていることが時々あると思うのですが、続きを読む楽しさも独特なものです。 語り口が軽妙で、日記のような雰囲気です。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワー…

【書評】「ドランカー<酔いどれ>(敗れざる者たち)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 1975年、元ボクサーの輪島功一さんが当時のWBAジュニアミドル級世界チャンピオン、柳済斗さんと戦ったタイトルマッチについて取材されたノンフィクション作品です。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 減量 プロ したたかさ 印象に残っ…

【書評】「運命の受容と反抗(像が空をⅠ 夕陽が眼にしみる)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木耕太郎さんが、柴田錬三郎さんについて書かれた一遍になります。 目次 はじめに 目次 全体の感想 キーワード3選 対談 降りて、降りない 時代小説 印象に残った文章 おわりに 全体の感想 文章の始まり方がとても自然で、流れるように主題に入っ…

【書評】「苦い報酬(像が空をⅠ 夕陽が眼にしみる)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本作品は、沢木耕太郎さんによるトルーマン・カポーティについての論評ともいうべきものです。私は、トルーマン・カポーティという作家をこの文章で初めて知りました。うっすらと知っていた「ティファニーで朝食を」という小説の作者であることと、…

【書評】「死に場所を見つける(貧乏だけど贅沢)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木耕太郎さんと高倉健さんの対談です。沢木さんの作品を読む前には、お二人が対談されていることが意外に思えました。対談についての経緯は、エッセイなどで読むことができます。沢木さんの作品には、高倉さんのお話が多く出てくるんですね。お互…

【書評】「彼らの流儀」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本書は、沢木耕太郎さんのコラムを1冊にまとめた本です。人物を掘り下げたものが中心となっていますが、別の形態をとったものも含まれる多彩な作品群となっています。 目次 はじめに 目次 全体の感想 好きな作品3選 鉄塔を登る男 最後のダービー 理…

【書評】「贅沢な旅(貧乏だけど贅沢)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本作品は、沢木耕太郎さんと阿川弘之さんが旅について語り合った対談です。深夜特急がきっかけとなった対談であり、お二人の旅の捉え方を知ることができると思います。 目次 はじめに 目次 キーワード3選 船旅 贅沢 深夜特急 印象に残った文章 おわ…

【書評】「夢見た空(像が空をⅡ 不思議の果実)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本作品は、1984年のロサンゼルスオリンピックについて書かれたものです。当時は冷戦下で、社会情勢も合わせて描かれています。冷戦であったことを鮮明に表しているのは、東側諸国のボイコットです。沢木さんは、不参加を決めたソ連の首都モスクワ、…

【書評】「王であれ、道化であれ(王の闇)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 本作品は、モハメド・アリとジョー・フレイジャーについて書かれたものです。モハメド・アリはレオン・スピンクスとのタイトルマッチに挑戦者として、臨もうとしています。(1978年9月)かつてヘビー級の王座を争ったジョー・フレイジャーがその時…

【書評】「クレイになれなかった男(敗れざる者たち)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 沢木さんが20代の頃に書かれたボクシングに関するノンフィクション作品です。ボクシングの歴史と裏側、そして魅力を伝える1篇となっています。同時に、沢木さんのボクシング観も読み取れます。 この作品は、カシアス内藤さんの韓国での試合を取材し…

【書評】「記憶と資料(像が空をⅢ 勉強はそれからだ)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに ノンフィクションについての考察が書かれた1篇です。「少年少女のためのノンフィクション論」と副題がついており、若い人に呼びかける形式で書かれています。まだノンフィクションを読んだことのない人への読書案内といった雰囲気もあると思います…

【書評】「持てる者と持たざる者と(象が空をⅡ 不思議の果実)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに この1篇は、競輪の新人選手向けの講演を文章化した形となっています。語りかける様な文章なんですね。講演の内容を読めるというのは、貴重なのではないかなと思います。エッセイ集の中で文体が急に変わって、驚いた思い出があります。少し、異色な1…

【書評】「自己の再生という幻想(象が空をⅡ 不思議の果実)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに この1篇は、沢木耕太郎さんが映画を観て書かれたエッセイとなっています。沢木さんは、映画の評論も多く書かれています。個人的にはこの1篇はそれらよりも少しライトなものになっていると思います。ただし、内容が軽いという意味ではありません。映…

【書評】「彼の視線(像が空をⅠ 夕陽が眼にしみる)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 近藤紘一さんというジャーナリストの方について書かれた1篇です。近藤さんは、新聞社の特派員として、ベトナムや東南アジアで取材されていた方です。既に亡くなっておられるのですが、その生涯で残された著作物について沢木さんが書かれたものにな…

【書評】「イシノヒカル、お前は走った!(敗れざる者たち)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 「イシノヒカル、お前は走った!」は「敗れざる者たち」に所収されているスポーツ・ノンフィクションの1篇です。競馬を取り扱った作品となっています。沢木耕太郎さんが、ダービーを目前にした厩舎に住み込んで取材して書かれています。厩舎には有…

【書評】「ポーカー・フェース」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに 「バーボン・ストリート」、「チェーン・スモーキング」につづく沢木耕太郎さんのエッセイ集です。本書は、2011年に刊行されています。前の2冊に比べると、最近に書かれたものです。(もう10年以上前ではあるのですが。)書かれている映画が見知っ…