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書評のブログ。

【書評】「杯(カップ)(沢木耕太郎ノンフィクション 9 酒杯を乾して)」(沢木耕太郎)を読んでの感想

はじめに

サッカーのワールドカップと旅について書かれた作品です。
取材されているのは、日韓ワールドカップ
日本と韓国を往復し、感じたことが書かれています。
サッカーだけでなく、人との出会い、社会への洞察が描かれています。
一緒に旅しているような感覚になると思います。

目次

 

キーワード3選

韓国

韓国に部屋を借りて、拠点を持ったうえで試合を追っていました。
韓国という国の社会の中が少し分かるかと思います。
サッカーを通しての社会への考察は興味深いです。
韓国代表チームが勝つにつれて見えてきたものが、本質に近いものだったのかな、と個人的には感じました。

フィリップ・トルシエ

日本代表監督への考察も興味深かったです。
当時の日本代表がトルシエとどんな関係だったのかが、伝わってくるんですね。
ベスト16まで勝ち進んだチームの内情がどんなものであったのか。
20年以上経った今でも、面白く読めました。
代表チームの監督と選手の関係はいつでも難しいものなんだと感じられました。

雨の試合が印象に残りました。
6月に開催されたため、日本の梅雨とぶつかっているだけなんですが。
仕方のないことだが、試合の印象もどこか寂しさみたいなものをまとってしまっているように感じました。
気候なのでどうしようもないのですが、年月を経過してこのような観戦記を読むと余計にそう感じてしまうんですね。

おわりに

移動が多いため、食事が大変そうだった印象があります。
遅い時間に寿司屋で食事をしているシーンがなぜか頭に残りました。

出会いがあったり、取材仲間との交流があったりして多層的な観戦記になっているんですね。
スポーツ・ノンフィクションと紀行文が好き方には、ぜひ読んでほしい作品です。