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書評のブログ。

【書評】「シドニー! ワラビー熱血篇」(村上春樹)を読んでの感想

"シドニー コアラ純情篇"に続く一冊ですね。
シドニーオリンピック後半を取材した内容が書かれています。

オリンピックの日程が進んだことと、村上さんのオーストラリアでの生活が慣れてきたことで、
コアラ純情篇とは雰囲気が違っているように思えました。

 

 

いいな、と思った3点は以下の通りです。

事件

大きな事件が起きます。
こちらはぜひ本を手にとって読んでほしいな、と。

オーストラリアの歴史

オーストラリアの歴史を村上さん独自の視点が書いた一遍が面白かったですね。
オーストラリアがどんな道を歩んできたのか、ほとんど知らなかったので。
イギリス、アメリカとの関係、社会の変化、シドニーオリンピックの位置付け。
コンパクトにまとまっています。ユーモアもあります。
こちらもおすすめの文章ですね。

選手

選手の内面を掘り下げているところもよかったですね。
この本は基本的には、オリンピックというイベントをマクロな視点から見ているところが中心だと思うのですが、
ミクロな視点で選手の姿を描くこともしているんですね。
オリンピックとは別の場所でインタビューをし、本番での競技を観戦する。
オリンピック後、次の大会へと向かうところも取材している。
一方的な視点では感じられない奥深さが書かれていたように思います。

村上春樹さんが書くスポーツ・ノンフィクションとして非常に面白い作品だと思います。
スポーツが好きな方におすすめできる作品です。