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書評のブログ。

【書評】「リーダブルコード」を読んでの感想

プログラムを書く上で、読みやすくするために必要なことが書かれた本。
気を付けるべき点が一通り載っています。しかし、ページ数はそこまで多くない。
プログラミングの勉強を始めたら、一度は読むと良いのではないでしょうか。

  • 個人的には、テストコードを書く上で気を付ける点が非常に参考になりました
  • テストを簡単に追加できるようにする
  • テストコードをシンプルにする
  • エラーメッセージを分かりやすくする
  • テスト用の関数の処理(テスト)を1つに絞る
  • テスト用の関数の名前を分かりやすいものにする
  • 適度に関数化して、テスト本体の呼び出しを分かりやすくする(1つの関数呼び出しになっていれば、分かりやすい。)

何度も読み返すと、新しい気付きが得られる本だと思います。
実際にコードを書いていくと、共感が得られる箇所が増えていくのではないかな、と。

プログラミングに興味がある方には、是非手にとっていただきたい一冊です。

【書評】「この国のかたち 五」(司馬遼太郎)を読んでの感想

はじめに

司馬遼太郎さんの歴史評論集。
歴史を中心に据えた、エッセイと思うと良いかもしれないです。
作品を書く中で収集された知見が読みやすく書かれています。

目次

キーワード3選

看羊録

どういう展開なんだろう、と思ってたら最後に回収されていたのが印象的でした。
司馬さんの歴史的な書物への知見の深さに驚かされます。

日本の鉄の歴史を語ったものです。
日本の文明が大陸から来たという捉え方をしていたように思えました。
鉄にまつわる知識がふんだんに散りばめられていて飽きないですね。

人間の魅力

司馬さんが書いた作品の登場人物についての感想みたいなものが綴られています。
坂本竜馬と、大村益次郎高杉晋作のところが面白かったです。
竜馬がゆく、世に棲む日日、花神と読んでたからかもしれないですが。
作品を読むと、登場人物に愛着が湧くんだな、と。

おわりに

文春文庫から6巻出ています。量は多いのですが、どんどん読めます。
一つ一つの作品が、コンパクトで読みやすいので、司馬遼太郎作品がお好きな人におすすめです。

【書評】「シドニー! ワラビー熱血篇」(村上春樹)を読んでの感想

"シドニー コアラ純情篇"に続く一冊ですね。
シドニーオリンピック後半を取材した内容が書かれています。

オリンピックの日程が進んだことと、村上さんのオーストラリアでの生活が慣れてきたことで、
コアラ純情篇とは雰囲気が違っているように思えました。

 

 

いいな、と思った3点は以下の通りです。

事件

大きな事件が起きます。
こちらはぜひ本を手にとって読んでほしいな、と。

オーストラリアの歴史

オーストラリアの歴史を村上さん独自の視点が書いた一遍が面白かったですね。
オーストラリアがどんな道を歩んできたのか、ほとんど知らなかったので。
イギリス、アメリカとの関係、社会の変化、シドニーオリンピックの位置付け。
コンパクトにまとまっています。ユーモアもあります。
こちらもおすすめの文章ですね。

選手

選手の内面を掘り下げているところもよかったですね。
この本は基本的には、オリンピックというイベントをマクロな視点から見ているところが中心だと思うのですが、
ミクロな視点で選手の姿を描くこともしているんですね。
オリンピックとは別の場所でインタビューをし、本番での競技を観戦する。
オリンピック後、次の大会へと向かうところも取材している。
一方的な視点では感じられない奥深さが書かれていたように思います。

村上春樹さんが書くスポーツ・ノンフィクションとして非常に面白い作品だと思います。
スポーツが好きな方におすすめできる作品です。

【書評】「良いコード/悪いコードで学ぶ設計入門 ―保守しやすい 成長し続けるコードの書き方」(仙塲 大也)を読んでの感想

ソースコードを書く上で気を付けるべきポイントが書かれた良い本だと思う。

C#を使って説明されているが、他の言語でも応用はできる。

コーディングで、おさえておきたいところが、たくさん載っている。

 

以下、読んで大切だな、と考えた点。

  • interfaceを使っての設計をしっかり行う。
  • 分岐を減らす。
  • 引数で関数内の処理を分岐させない。
  • 目的ベースで名前をつける。
  • 通化する処理について横断的関心事となっているか確認する。
  • 割れ窓理論リファクタリングのサイクルを意識すること。

 

重要なことでも、すぐに忘れてしまう。

コンスタントに読み返したい。

【書評】「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」(木村元彦)を読んでの感想

はじめに

サッカーユーゴスラビア代表の名手であった、ドラガン・ストイコビッチについて書かれたノンフィクションです。
活躍された選手だったことはよく知っていたのですが、詳しい経歴は知りませんでした。
彼のプロサッカー選手として辿ってきたキャリアは言うまでもなく、とにかく凄い。
しかし、その一方でユーゴスラビア代表としてのもう一つの経歴が波乱に満ちていたことが分かります。
プロサッカーの世界だけでなく、波乱の時代の中をタフに生き抜いてきた人物であるとも言えます。
サッカーの才能に導かれ、時代の中をサッカーで生き抜いてきたという表現は大げさではないと思います。
とても読み応えのある作品です。

目次

初めて知ったこと3選

EURO2000での出来事

ユーゴスラビア代表として出場したEURO2000でどんなことがあったのかが書かれています。
活躍した印象もあったのですが、裏側では様々な苦闘があったことが分かります。
現役時代の終盤のストイコビッチの姿はとても印象に残りました。

マルセイユでの苦難

1990年のイタリアワールドカップでの活躍は知っていたのですが、その後のマルセイユ時代のことは知りませんでした。
怪我にあい、苦労していた時期でした。同時に、ユーゴスラビア代表としても、1992年のEUROへの出場がかなわなくなるという出来事があります。
ストイコビッチのサッカー人生が波乱ばかりであったことが分かります。

日本に来た時期のこと

自分の思い込みでしかないのですが、現役として最盛期に名古屋グランパスに移籍していたと思っていたんです。
実際には、29歳というサッカー選手としては、ベテランにさしかかる時期だったんですね。
(この辺は人によって違うとは思いますが。)
グランパス移籍後に、1998年のフランスワールドカップに出場していますし、EURO2000にも出場しているので、選手としては力を十分に維持していたと言えます。
日本での活躍は、長い選手キャリアの中で、苦労していた時代の後だったことを知りました。

おわりに

最後にストイコビッチのお父さんとお母さんへのインタビューが載っています。
飾らない両親の姿からは、ストイコビッチの波乱に満ちた選手キャリアは想像できないな、と思いました。
遠い異国である、日本で活躍し、強い印象を残す選手になるとは誰も想像しなかっただろうと思うんですね。

一方で彼自身の姿からは、とにかく芯の強さを感じました。
国家の激動からの影響を受けてきた人生だったと思います。
それに負けないように生きてきたのは間違いない。
本当に尊敬できる人物だと思います。

総じて、人生の困難に打ち勝つことの難しさが伝わってくる作品なのかな、と。
海外のサッカーがお好きな方に是非、読んで頂きたいです。

【書評】「TAKE NOTES!」を読んでの感想

ニクラス・ルーマンという社会学者の方が考案したメモのとり方の方法論について書かれた本です。
ご本人は、この手法を元に58冊の本と、数百本の論文を執筆したそうです。
メモをとることが大切なのは、知っているつもりですが、なかなかいい方法は分からない。
少しでも実践して、何かが変われば面白いのでは?そう思い、読んでみた次第です。

 

本書の中で実践したいこと

  • 自分の言葉で本をまとめること
        - 自分の言葉で、というところが大切とのことです。
        - ただ、読んだだけでは身につかない。
        - 自分の言葉に置き換えることで自分の中に残る。
  • メモどうしのつながりを記録すること
        - つながりを意識することはほとんどなかったかもしれないと思いました。
        - 後から書いたメモが既存のメモとどうつながるか考えるか?というのは新鮮な視点でした。
        - 実験的に実践してみて、考えが積み重なっていくことで、どうアウトプットする内容が変わっていくのかが知りたいな、と。
  • メモを管理することを続けること
        - ちょっと、自分の解釈になってしまっているけど、一番重要かなと思っています。
        - 1つのメモだけあっても、なかなかすごいアイディアにはならないと思います。
        - 時間をかけて、メモを意識的に積み上げていくことで、重要なアイディアができるのではないでしょうか。

なかなか、手書きのメモだと続かなそうなので、デジタルツールなどを使った、上手く実践したいな、と思います。

【書評】「シドニー コアラ純情篇」(村上春樹)を読んでの感想

はじめに

村上春樹さんが2000年に開催されたシドニー・オリンピックについて書いた作品です。
取材した日々のできごとを日誌のような形式で書いています。
それ故、競技に入り込み過ぎることなく、客観的に軽い感じで書かれた印象。
まあ、そうはいっても、選手、競技へ現場で取材した臨場感はしっかりあります。
オーストラリアの歴史、2000年当時の社会、都市(田舎)、オーストラリア人(オーストラリアに住む人々)のこと、といった側面も散りばめつつ、オリンピック期間のオーストラリアを描写しています。
いろいろなテーマをオープンにパッケージした旅行記とも言えるかもしれないですね。

コアラ純情篇はオリンピックの前半の日程までを取材した内容となります。

目次

キーワード3選

村上春樹夏季オリンピック

村上春樹さんがオリンピックの開催期間に現地に滞在し、観戦した内容を書いた場面が中心の作品。
夏季オリンピックというところも特徴になっています。
陸上競技、野球への思い入れが入っているな、という印象です。
あえて、夏季と書いたのは、冬季もちょっと読みたいなと思ったので。(個人的には、夏季のシドニーほど村上さんの文章にぴったりな開催地がないような気もしますが。)

野球

日本代表の野球の試合を観戦した内容は、他とは違って、観戦に慣れているんだろうなと思いました。
試合の流れ、心理の推測、監督の判断への感想が淀みなく書かれています。
松阪投手と江夏豊投手を比較した箇所が特に印象的でした。
村上さんのエッセイには時々、野球の話が出てくるんですが、まとまって試合観戦の記録を読んだことはなかったので、面白かったですね。
オリンピックの野球の試合ということで、日本のプロ野球と雰囲気が違うといったことも興味深かったな。

ラソントライアスロン(走ること)

村上さんはフルマラソンや、トライアスロンに定期的に参加されている方ですから、この種の競技にはかなり詳しそうな印象を持ちました。
選手同士の駆け引きや、心理の読み込み方も経験者ならでは、と感じさせるもの。
大げさではなく、マラソントライアスロンの見方が分かる内容となっていると思います。(今まで、この種の競技の見方がいまいち分からなかったので、そう思ったのかもしれない。)
文章の端々から、走ることへの思いだとか、選手全員へのリスペクトが感じられて、何だかよかったですね。

おわりに

オリンピックを取材したノンフィクションとしては異色かもしれないですね。
でも、読みやすくて、面白いことは間違いないです。
オリンピックの見方が少しだけ変わるかもしれない1冊です。