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書評のブログ。

【書評】「昼のセント酒」(久住昌之)を読んでの感想

はじめに

久住昌之さんの銭湯と居酒屋について書かれたエッセイです・
頭が雑多なことでいっぱいになった状態から解放された感覚と、風呂につかった時のそれというのは、すごく近いんじゃないか。
そう思わせてくれます。

風呂の良さと合わせて、細か点に気づいてしまう久住さんへの共感も湧いてきますね。
違和感を面白がる精神でつづられた日記といった趣の本となっています。

目次

キーワード3選

お風呂のよさ

この本の印象を決めているものは、何と言っても風呂につかった時の解放感だと思います。
理屈から離れた瞬間を何度も書かれています。
色々な場所で、独特な雰囲気の中で感じた時間を切り取り続けてます。
ある意味、淡々と繰り返されるお風呂の解放感を読める楽しさが詰まっています。

東京の銭湯

本書の中心は、東京の銭湯なんですね。
訪ねるのは、ほとんど東京の銭湯です。

独特の風景の味わい深さがあるんですね。
日常にはない昔からあったと言われるしシステムを知れる面白さもあります。

東京に残っている銭湯の姿を知れる興味深さも本書の魅力ではないかな、と。

夕暮れと居酒屋

必ずしも夕暮れ時が描かれていたということでもないのですが、夕暮れと居酒屋が印象に残っています。
日のあるうちの飲酒の良さが伝わってくるからかな、と思います。
銭湯ともっとも合う情景なんじゃないでしょうか。

印象に残った文章

ビールの時間がやってきた。

「昼のセント酒」(カンゼン)

理由はないんですが、すごく頭に残った表現です。

おわりに

難しいことと距離をとれる文章がつまっていると思います。
何も考えたくないな、と言う時に読みたくなりますね。

少し疲れた時に読んでほしい一冊です。