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書評のブログ。

【書評】「寸劇(霊長類ヒト科動物図鑑)」(向田邦子)を読んでの感想


はじめに

向田邦子さんのエッセイの一遍です。
日本人らしい気の回し方を丹念に描いた作品になります。

目次

全体の感想

向田さんらしいなというのが第一の印象です。
客としての振る舞いと主人側の気持ちの機微は、日本の方だと分かるなと思うのではないでしょうか。
この辺を独特の視点で描いているんですね。

キーワード3選

誰しも、お客になったり、お客を迎える側になったりします。
どんな気持ちで振舞うのか。
探り合い、引いたり、押したり、かわしたり。
要素がたくさんあります。
人生の達人が秘訣を解き明かしていくような楽しさと奥深さがあるように思いました。

食べ物

食べ物を扱っているのがポイントだと思います。
向田さんが食べ物について書いたものは何だか楽しいんです。

楽しむコツ

気を遣うような局面も楽しめる心持を向田さんが持っていたように思います。
何事も前向きにとらえられる方だったのではないかと想像されます。
ポジティブな印象が全体に散りばめられているので、読んでいて安心できるのではないでしょうか。

印象に残った文章

...客も主人もみなそれぞれにかなりの名演技であった。

「霊長類ヒト科動物図鑑」(文春文庫)より引用

向田さんが言うなら、そうなんだろうな、と思わされます。
この辺の文章が楽しそうなんですよね。

おわりに

お客のことも主人のことも客観的に眺めている向田さんの姿が目に浮かぶようなエッセイです。
どちらの気持ちも手に取るように分かっており、解説を加えているような感じなんですね。
手の内を明かしながら、楽しんでいるような文章となってます。

短い一遍ですが、味わい深い作品です。