はじめに
読む前には、タイトルが印象的だなと思っていました。
書き出しのアイスクリームがフランスに伝わったエピソードから徐々に引き込まれて一気に読んでしまいました。
すうっと流れるような味わいのエッセイです。
目次
全体の感想
派手さはない一遍ではないかと思います。
主題はタイトル通り、アイスクリームと学生時代の思い出です。
組み合わせが絶妙でして、アイスクリームが特別な食べ物であったころと、学生特有の感情の描写が読んでいて楽しいんです。
キーワード3選
アイスクリームという食べ物
昭和初期、アイスクリームが実に貴重な食べ物であったことが書かれています。
向田さんのお母さんがアイスクリームをお家でつくる描写もあります。
今では想像するのも難しいですが、冷蔵庫のない時代には滅多に食べられないものだったんですね。
アルバイト
学生時代の思い出として、アイスクリームを売るアルバイトのお話が語られています。
アルバイトの難しさや、楽しさが綴られています。
向田さんが普通のアルバイトをしていたというのが何だか不思議でした。
語られているエピソードも楽しく、非常に盛り上がる場面となっています。
時代の流れの速さ
アイスクリームが非常に貴重であった時代から、売り歩くことができる時代、そして何時でも食べられる時代。
向田さんの経験から、変わっていく時代の速さが感じられました。
昭和の時代は本当に生活の変化のスピードが凄かったんだと思います。
このような変化を感じられることが多いのも向田さんのエッセイの魅力ではないかなと。
印象に残った文章
'...サラリーマンの娘に生まれた悲しさで、生れて二十年ただの一度も物を売ったことがないのである。'「父の詫び状」(文春文庫)より引用
向田さんが自分をどうとらえていたかが分かる一文かと思います。
この一文で一歩引いて思い出を描写している印象を受けました。
おわりに
向田さんとアイスクリームの思い出という言葉でしか言い表せない独特の雰囲気のエッセイです。
次々流れるように語られる思い出、アルバイトの描写の勢いから、すっと結ばれる最後は歯切れの良さを感じさせます。
また、終わり方はエッセイを書いている「今」を感じさせるんですね。
客観的に思い出を話してくれた向田さんの姿が連想されます。
どこか落語のような雰囲気を持った一遍ではないかと思います。
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